今年もやります!父親たちの井戸端会議 保護者活動

毎年10月におこなわれる秋祭り。その名物企画のひとつに育ちつつあるのが「父親たちの井戸端会議」です。「学校の雰囲気がよくわかる」「お父さんたちの本音が聞ける」と好評です。

2023年度の秋祭りでは「移住」と「編入」がテーマの「父親たちの井戸端会議」が行われました。「編入」がテーマの座談会の様子をご紹介します。

どのように編入を決めましたか?

校舎を見て「ここだったらいいかな」

飯島さん:会社員として、ずっと東京で勤務していましたが、大阪に異動になり単身赴任していました。帰るたびに、妻と息子とで大阪に来るかどうか家族会議をしました。妻は大阪へ来たいというのですが、息子は中学2年で部活の友達もいるので引っ越しは絶対に嫌だと。

シュタイナー学校のバザーやOBトークセッション、体験授業などに参加して学校のことがだんだんわかってきたので京田辺シュタイナー学校に息子を連れてきたら、息子が校舎を見ながら「ここだったらいいかな」と言ったので引っ越してきました。編入して3年経ち、いま息子は12年生ですが、よかったと思っています。

掘り下げて勉強することが好き

磯貝さん:この4月に9年生(中学3年生)で編入したんですけど、きっかけと理由が別々なんです。息子に楽器づくりを教えてくださっていた先生が京田辺シュタイナー学校とつながりのある先生だったんです。息子は、シュタイナー学校の存在を知っていて、その先生とも家族ぐるみのお付き合いがあったことがきっかけです。

その後、息子の仲のよい友達が続けて転校してしまい、学校と距離ができてしまいました。息子はもともと掘り下げて勉強することが好きなので、考え方ではなく、答えや結果だけ教える中学校のやり方になじめず、すごく好きな授業と受け入れられない授業がはっきり出てきました。

その時、ちょうど京田辺シュタイナー学校の編入の枠が1枠空いたので、息子が行きたいと言いました。息子が「見てみたい」と妻に話して、父の私は説得されて連れてこられました。

その時の印象は、子どもたちがたくさん来ていてすごくみんなが挨拶してくれたこと。先生たちと話すと、公立学校の考え方とすごく違う考え方を持っていて、息子の可能性を伸ばしてくれるんじゃないかと、不安を抱えながらですけど、入学を決めて学校の近くへ引っ越しました。

石本さん(司会):次の方ね、2年前に3人のお子さんが1年、4年、7年生の時に編入されたんですが、実は公立小学校の教頭先生なんですよ。

先生たちの教育への向き合い方に衝撃

野地岡さん:私は教員をしているのですが、1人目の子が1年生の時に同じく小学校の教員だった連れ合いがシュタイナー学校に行かせたいと言ったんです。私は公立の教員なので、子どもが公立学校に行かないと自分のやっていることが否定されてしまうんじゃないかとジレンマがあり、その時は入学は無理だと言ったんです。

その6年後、3人目の子が1年生になるタイミングで妻がもう1回「シュタイナー学校へ行かせたい」というので、シュタイナー学校へ行くことを考えることにしたんです。

面談を受けた時に一番衝撃だったのが先生たちの教育に対する向き合い方で、この学校は本物だと感じました。この学校の面談は、1回で決まる人もいれば、何回か面談を重ねる人もいて私もそうだったのですが、子どもがシュタイナー学校でするような生活を大人として送れるのかということを問われて家族で向き合いました。

上の子はもう7年生でしたが、本人の意志というより、この教育を受けてほしいと親が決めました。親が決めるという意味では、公教育を受けさせると決めることも同じなので、私たち夫婦はシュタイナー学校を選んだということです。

お父さん飲み会が楽しすぎる?!

磯貝さん:公立のお父さん同士って、学年を越えた交流や学校をどうしたいと教育の話をすることがまったくなかったので、この学校のお父さん飲み会でお酒が入ると「学校こうしたいよね」とみんなが中学の友達みたいに話すのがすごく新鮮でした。ここに来た初日に飲み会に誘ってもらい、今でも参加しています。すごい面白いです。

石本さん(司会):この学校では、実はお父さんたちで飲みに行ったりしているんです。中学の友達みたいになっていて「この歳で友達できるんや」って感動するんです。子どもの学年もばらばらですが、これが思いのほか楽しすぎて。

編入生との出会いが楽しみな子どもたち

磯貝さん:最初は、一般的なレールからはずれてしまった時に戻れなくなるのではないかと不安でした。息子と妻はすごくいいところだと感じて信じていた。私は細かいことが気になっていたのですが、入学して1~2か月すると息子は学校が楽しくて充実していて。

初日に息子がうれしそうに話してくれたんですけど、みんなが編入の子たちを待っているんですよ。みんなは長年一緒に過ごしてきてすごく仲がいいんですけど、新しい刺激、新しい人が入って来るということにすごく興味を持っていて、一日中みんなに囲まれて話かけられたというんです。

息子は今もすごくいい状態で、ゾーンに入っているような、子どもの本来の形、姿がすっと出てきたような気がします。

飯島さん:私もすごく印象に残っているのですが、引っ越してきて、息子は初めて学校に行くのが不安そうだったんですけど、まだ初日を迎えていないのにクラスの女の子5人が家に来てくれたんです。それがあったので初日がすごく行きやすかったと息子が言っていました。

ずっと公立だったので、息子が自慢げに「知ってる? 教科書ないんだよ」と私に言うんですよ。教科書がなくてエポックノートを自分で作るということが本人にとってもセンセーショナルだったようです。

石本さん(司会):みんな、一人ひとりを本当に大事にするんです。「一人もないがしろにしない」って、言うのは簡単だけど、そんな学校なかなかないんよね。

子どもたちの行動力に大人がハッとする

飯島さん:新しい人来るよって聞くじゃないですか。「どんな子だろう」って思ったら行動するんですよね。あの行動力がすごいなって今でも感じますよね。

石本さん(司会):彼らの「見ている」「観察する」は次に動くための観察じゃないですか。ただ見ているってあまりないんですよね。その先にDO、アクションが必ずあるような感じ。それがこの子たちの強みかな。この子たちを見ていて、大人としてハッとするんですよ、動かなきゃなって。

困っていることがあれば教えてください。

野地岡さん:子どもが3人いるので、3学年の係が全部あるんです。会議とか学年会とかもあって3人分集まりがあり、夫婦でシェアしないとできないなと。公立の学校では考えられない学校との関わり方だなと思います。

石本さん(司会):この学校は親も学校に行かないと成り立たないんです。だから子どもを預け合ったりして、とにかく助け合う。助け合わないとやっていけませんよね。

公立学校とのちがい

会場参加者:先生のあり方が公立とぜんぜん違うというのは、どういうところが違うんですか?

野地岡さん:そもそもの人間観が違うのですが、公教育は「こういう人間に育てる」というゴールがあってそこを目指して育てると思うんです。シュタイナー学校は、子どもたちが持っているものをどういう風に伸ばせるか、その子の成長をどう教師がサポートするのかをきちんと理論を持ってされている。

石本さん(司会):多くの保護者が言うのは「私が行きたかった」ということ。でも、編入前はぼくの方が迷っていたんです。自分の受けた教育と違い過ぎて、とつぜん最後に不安になったんです。でも逆に、教育って一生そんなにも突き刺さり続けるんやって気づいて、よく分からないんだけど、みんなで行こうかって来ましたね。

そしたら、すごいウェルカムしてくれて。編入すると、クラスメートたちが校門の前で娘が登校するのを待っているんですよ。娘はみんなに連れ去られるように教室へ行きました。よかった、と思いましたね。その瞬間を思い出すと今でも泣きそうになるんです。

お時間が来ましたので、これで今日は終わろうと思います。みなさん、ありがとうございました。


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