父親たちの井戸端会議(移住編) 保護者活動#ブログ  #移住   |

2023年度の秋祭りでは「父親たちの井戸端会議」が行われました。

そのなかで「移住・引っ越し」がテーマの座談会の様子を抜粋してご紹介します。

みんなが移住・引っ越し経験者

佐藤さん:8年の佐藤です。横浜生まれで、ずっと横浜に住んでいたんですけど、原発事故があったので西の方に引っ越そうとまず奈良に引っ越し、息子のシュタイナー学校編入に合わせて奈良と京都の県境・高の原に引っ越しました。

山嵜さん:1年の山嵜です。出身は東京なんですけど、若い時にあちこち旅をしている中で沖縄にたどり着いて、沖縄で15年くらい暮らしました。そこでシュタイナー幼稚園に出会い、3歳ごろから息子を通わせました。小学校に上がる時に日本中のシュタイナー学校を探す中で京田辺シュタイナー学校を知り、シュタイナー建築の校舎にひかれて移住してきました。

引っ越すときに葛藤や問題は?

山嵜さん:沖縄にずっと根を下ろすつもりだったんですが、シュタイナーに出会って人生が大きく変わって。雑誌で沖縄の首里のシュタイナー幼稚園を紹介する記事に出会ったのが最初です。こんな世界があるんだったら自分がここで育ちたかったな、と心の底に響きました。迷いはめちゃめちゃありましたよ。それでも子どもの学校っていうだけじゃなくて、ぼくら親自身の成長にとっても人生をかけるに値すると決断しました。今では世界中のシュタイナー学校は、混沌とした世界を美しく照らす、揺るぎないヒカリだと確信しています。

佐藤さん:息子はもともと奈良の公立小学校に通っていましたが、学校のいろんなあり方とか宿題の多さとかもあって学校へ行けなくなっちゃったんです。妻がいろいろ調べてシュタイナー学校が息子に合っているんじゃないかというので、2年生の2学期に編入しました。バザーで見た校舎の雰囲気と生徒の表情とか、高校生たちの様子がすごく好印象でした。知らない人にもすごくフレンドリーで普通に挨拶するじゃないですか。あと、シュタイナー教育の授業が体験を大事にしているのもいいと思いましたし、ぼくは演劇を仕事にしていたので、いろんな学年で演劇をやっていることにも惹かれました。

京田辺シュタイナー学校に来て、いかがでしたか?

山嵜さん:決め手はやっぱり、日本のシュタイナー学校のなかで唯一のシュタイナー建築。それもゼロからお父さんお母さんがつくったっていう立ち上がり方だけでも、ここにくる価値はあると思うんです。来てみると思った通りというか、思った以上というか、中に入らないとわからない世界が待っていました。

石本さん(司会):沖縄と開放感とか全然ちがうわけじゃないですか? まちはどうですか?

山嵜さん:ぼくたちは学校だけじゃなくて、自分たち家族の暮らしを守りたいっていう気持ちがあって、住むところをすごく重要視しました。和束町っていう茶畑だらけのまちと出会い、茶畑の景観が沖縄の海にも匹敵すると思ってすぐ決めました。海外も旅してきましたけど、今まで見たことのない景色でした。

石本さん(司会):ぼくたちも5年前の10月に京都市左京区から引っ越したんですけど、賃貸で空いていた家が一軒だけありまして、地域のことを何も知らずに引っ越したんです。ちょっと離れると自然豊かで、初めてキャンプとかもして、いいなと思っています。10分、20分でキャンプできますからね。

楽園はどこにもないから、みんなでつくっていく

山嵜さん:入学後にさらに見えてきたのですが、この学校の環境は本当に素晴らしいと思うんです。学校の中の世界は、ひとつひとつ、木の一本でもみんなが大切に守ってきたことを感じられるんですよね。

楽園ってどこにもないから、いいところだから来ようっていうのも違うんじゃないかと思えてきて。『子どもはどんなところでも幸せにならなければいけない』 尊敬するシュタイナー幼稚園の先生から頂いた言葉が腑に落ちたんです。すごい覚悟がいると思うんですけど、決断して来た場所でこうやってみんなで仲間をどんどん増やして、いい環境を創り続けるっていうのがシュタイナー学校なんですよね、多分。

石本さん(司会):地域との関係にはとても力を注いできたと思うんですけど、この学校があることで、まちや地域が変わってきた、そういう関係ができたらいいなと思います。

この学校はコミュニティの交差点

石本さん(司会):佐藤さんは、奈良のたんぽぽの家という福祉施設で演劇実践をされていて、先日おじゃました時にすごく感動して。ぼくたちは同業者なんですけど、彼は東京でお芝居をされていて、我々演劇人が東京を離れるということは、ある意味、職を失うんですよね。

佐藤さん:演劇の仕事って特にコネクションが大事で、それによって仕事をもらえたりするので移住するということは、それまで築いてきたコミュニティを失うということでした。就職したところが福祉とアートをしているところで、ぼくは演劇をずっとやっていたので、そこで演劇をやっているうちに大規模なこともできるようになってきました。この学校の卒業生を見ていて実感として思うんですけど、やりたいことを追求していけば成長していくんだなと。この学校にきて、やりたいことを追求してきてよかったんだなと思っています。

石本さん(司会):コミュニティに入るのではなく、コミュニティをつくるのが好きな人が多いんですよ。コミュニティってすでにあるものではなくてつくっていけて、そして、重なっていますよね。この学校に来て感じたのは、空気の流れがよいというか、閉じてないんです。すごいたくさんのコミュニティのクロスロードとしての学校があるだけで、その人たちの生活を聞くだけで自分も豊かになったり、いろんな人生を教えてもらえる。

移住は、飛び込むか飛び込まないか

石本さん(司会):移住はすごく悩みが深くて、経済の問題がまずありますし、仕事をどうするのかということがありますし、それぞれの家庭ですごく悩んで決断をして来ていると思います。いろんな例があると思います。ご心配されなくても、みんな経験しているので、聞ける場所さえ設けられたら色々聞けますよね。

山嵜さん:そんな場があったらいいですよね。いろんな決断と覚悟がいると思うんですけど、飛び込むか飛び込まないかということだけだと思っていて。この場で解消したい不安はたくさんあると思うんですけど、迷いや不安を1個ずつ消そうと思ってもなかなか消えないと思います。それでも決断して中に入ってしまえば、みんなが助けてくれます。驚くほどに助けてくれますよ!気がつけば一つ一つ不安は消えていって、自身の力に変わってゆくことをぼくも実感し続けています。ぼくらは気候や文化も違う沖縄からでも移住できたので、陸続きであればみなさん、もう少し気楽に入れるんじゃないかな。ともに素敵な学校を創り続けてゆきましょう!

石本さん(司会):ありがとうございました。


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