学校報『プラネッツ』

学校報『プラネッツ』

NPO法人京田辺シュタイナー学校が発行している学校報『プラネッツ』は、主に教員と保護者が執筆し、授業の様子や学校内の行事の様子、この学校やこの教育に対する思いなどが書かれています。

『プラネッツ』の発行(予定日)は夏号、秋冬号、春号の年3回です。

※発行予定日 7月1日(夏号)、12月1日(秋冬号)、3月1日(春号)

今までの掲載記事の一部をトピックスページでご覧いただけます。

プラネッツ108号より記事のご紹介

前回の続編で「健康と栄養」の授業を紹介します。
私たちは様々な仕方で外の世界とつながっています。例えば、感覚で、呼吸で、栄養で。様々なものが、私たちの体に(心にも)出たり、入ったりしています。私たちは常に「(外から)受け取り」また「(内から)外に出して」いるのです。「外から受け取り―内から出す」このやりとりに特に注目していくと、はじめは「呼吸」や「栄養」という体の学びだったものが、地球環境やその人自身について考えることにもつながっていきました。

まず、自分の内と外を隔てている境界線にあるものとしての「皮膚」について、私は子どもたちと一緒に学びました。 「皮膚」は、なかなかの優れものです。私たちの体を守ってくれます。鉄や皮の鎧に比べて伸縮自在。鎧だったら動かしにくい肘や膝の部分も、スムーズな動きを約束してくれます。雨ガッパのように水の侵入も防ぎます。それも、一方向のみの防水機能。外から内への水はわずかしか入ってこないのに、体内の水は大量に外へ出してくれます。汗です。安物のカッパではこうはいきません。山登りの時など雨は防いでくれても、汗を掻くと蒸れて大変です。アウトドア用品に使われる、現在でも高価なゴアテックス素材ですが、その発明(1976年)以前は、人間の「皮膚」以外に一方向のみの防水機能のものはなかったのです。

また「皮膚」は、場所と状況に応じて、常に変化・成長を遂げます。爪も皮膚の変化したものです。動物まで目を広げれば更に、魚の鱗、鳥の羽毛、ワニの分厚い皮……全て皮膚の変化したものです。そのような変化を遂げられるのも皮膚が常に成長しているからです。皮膚は「表皮」と「真皮」がくっついた層状になっています。内側の真皮は生きていますが、外側の表皮はすでに死んでいます。爪の根元の方は生きた皮膚の一部なので切ると痛いですが、先の方は死んだ皮膚なので切っても痛くありません。皮膚の他の部分も外側の方も擦ると垢が出てきますが、この垢は死んだ皮膚です。髪の毛も、わずかな毛根の部分以外は死んだ皮膚です。蛇や幼虫は、脱皮の時まとめて古くなった皮を脱ぎますが、私たちは毎日少しずつ、垢を落として、少しずつ脱皮しているのです。水や食べ物を外から受け取り、排泄物や脱皮で死んだものを内から外に出す。私たちの体の「外から受け取り―内から外に出す」営みです。

次に、この営みを「地・水・火(熱)・風」の要素に分けて考えてみました。前号で紹介したカボック先生の授業では、「熱だけを取り出したら私たちの“熱の体”はどのような形になるか?」と生徒たちに問いかけています。体の各部には体温の高いところも低いところもありますが、わずかな熱も考え合わせれば熱は体の至る所にあり、「熱の体」は、そっくりそのまま人の形となります。同じように、水も空気(風)も固形部分(土)も体の至る所にあるので、「水の体」も「空気の体」も、もちろん固形部分も私たち自身の姿形そのままです。

私たちは常に呼吸を行い、外の空気と体内の空気を出し入れしていますが、今ある体中の体内の空気は数分で外の空気と入れ替わるそうです。つまり私たちと同じ姿をしている私たちの「空気の体」は、数分間後には、先ほどまであった空気の体ではなく、外にあった空気でできた新しい空気の体です。「熱の体」は、皮膚における熱の発散と吸収や飲食によってやはり入れ替わっています。「水の体」は、発汗や飲食・呼吸などでやはり入れ替わっており、今ある体内の水分は、数週間後には全て外に排出されています。

それは個体部分も同じです。つまり、私たちの今の体をつくっているすべての部分が入れ替わります。髪の毛や爪は明らかですし、皮膚のところで書いたように皮膚も入れ替わっています。そしてそれは、体内の筋肉や骨でも同じことです。体内のすべてのもの=筋肉や骨、心臓も肺も血液も古くなったものは、少しずつ排出されています。汗や尿や便や剥がれ落ちる皮膚として。そして、それを補う新しいものが、外からの物質(栄養や水分)を使用して作られ続けています。 そして!「空気の体」が数分ですっかり入れ替わり、「熱の体」や「水の体」も数時間、数週間ですっかり入れ替わるように、私たちの個体の体も、数年後(シュタイナー界ではおよそ7年ともいわれる)には、すっかり入れ替わっているのです。つまり、今の体を構成しているもので7年後に残っているものは何もない。7年前に持っていた体と同じものは何もないのです。外にあった空気や水や食物が今の体をつくっています。

教室でこれを話した直後の子どもたちの反応と言葉が忘れられません。教室が湧き立つ感じになって「オレたち、兄弟やん!」「まじ、オレら兄弟じゃね!」と互いの顔を見合わせていました。SDGsで水をきれいにしよう、空気をきれいにしようというのは、外の世界(地球環境)のためではない。事実、自分自身のため。というよりも、外の世界は、私でもある。外と内の強い繋がりを感じ合えた瞬間でした。

さらに授業は、7年前の私の体と同じではないのに、同じ人間なのは、何が同じなのだろう?と問いを進め、自分を自分自身とするものは何か、私自身とは何かと考える、少し哲学的な問いへと展開していきました。

前107号の繰り返しになりますが、SDGsの項目に「13.すべての人に健康と福祉を」とあります。子どもたちが「それぞれの個性に従って健康に成長すること」「子どもたちの個性(その人自身)が大切にされること」は、世界中のシュタイナー学校に共通する大切な目標でもあります。

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