6年生になってから始まった木工の授業を、子どもはとても楽しみにしています。
普段は授業のことをあまり話さないのですが、木工の授業のある日はちょっとおしゃべりで、
木片から彫ってカタチを作ってゆくこと、バターナイフを作ること、苦労していることや工夫を話します。
そして、ある日、仕上がったバターナイフを持ち帰って来ました。
一学期間かけて彫り上げたバターナイフは、丁寧にヤスリ掛けされ、オイルが塗ってあります。
バターナイフにしてはちょっと分厚く、お侍さんの脇差しのようです。
思わず「バターがすごく分厚く切れそうね」と言うと、
息子にはそんな私の感想は聞こえていないようで、
「ほら、ここのカタチがね、この握るところの微妙なへこみがね、お父ちゃんが持っている折りたたみのナイフみたいでしょう?」
そういわれてみれば、このバターナイフの柄の部分は、夫が持っているアウトドア用ナイフに近い流線型です。「ほら、ペーパーナイフにだって使えるんだ」と、紙をぼそぼそに切ってみせました。
アウトドアナイフをイメージしながら彫り上げた、このバターナイフは息子のご自慢で、今年の秋まつりのノート展にも出品させてもらいました。
さて、バターナイフですが、持ち帰った数日間は玄関に飾っていましたが、
「ねえ、使ってみないの?使っていると光って味がでてくるんだよ。」と、子どもはしっかりと、使うことを想定していました。
そして、だんだんと光ってくるように、バターを使うたびに、石鹸では洗わずに紙で磨きあげておくということになりました。
その日食べたぽってりと分厚いバターをのせたパンは、格別に美味しく感じました。
T.S