三年生の生活科の授業では、毎年家作りが行われています。
学校のグランドには歴代の三年生が建てた家(といっても
小屋程度の大きさです)があちらこちらにあります。
ですが、学校のグランドも特別広いわけではないので
とうとう、今年の三年生はもう家を建てる場所がない、
ということになってしまいました。
そこで、今の12年生が3年生の時に建てた家を
解体させてもらい、空いたスペースに
家を建てさせてもらおうということになりました。
3年生の子ども達と先生とで一緒に12年生の教室に行き、
「家を解体させてもらい、その後に自分達の家を
建てさせてもらっていいか?」ということを聞いたところ、
12年生の生徒たちは、自分達が建てた家を解体することを
快く承諾してくれたそうです。
そして、解体した家の木材で使えそうなものは、
新しく建てる家の材料に使わせてもらうことも
約束してきたそうです。
小学3年生が高校3年生にものを頼みに行くなんて、
自分の頃には考えられなかったことだけれど、
とても微笑ましいことだなあと思いました。
そして敷地も無事確保して、2学期が始まる少し前の
夏休み中から製作に取り組んできた家が、
1月にめでたく完成しました。
製作中は、指導してくれた木工の先生のことを「親方」
と呼び、小さな大工さんよろしくのこぎりで木材を切り、
釘をうって作りあげた小さいけれど立派な「家」です。
「空の家」と名づけられたその家には、
みんなが体を使って遊べるようにと、
うんていやのぼり棒も取り付けたそうです。
私の息子は普段あまり学校の授業の様子を話さないのですが、
家作りをしている最中に、一度だけ
「今日はよかった~。やっぱり(作業は)楽しかった!」
と話をしてくれたのが印象に残っています。
様々な人の協力を得て、自分達と先生とで一つの家を
作り上げたという経験は、彼がこれから生きていく上において
大きな財産になることと思います。
n.m