福祉体験実習 ~体験実習②~

早いものでもう12月。
皆さまもさまざまな想いを胸に年の瀬を迎えられていることでしょう。

少し前、10月の記事で高等部の労働体験についてご紹介しました。
間があいてしまいましたが、
体験実習シリーズ第2段をお送りいたします。


高等部の学びの中に大きな柱として位置付けられている実習。
今回は11年生の福祉体験実習について、学校報の中から、
高等部の体験自習担当の先生の文章をご紹介します。

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2週間つまり10日間という期間、生徒たちは福祉施設という場所で、
見ず知らずの人たちや、さまざまな障害をもつ人たちと過ごすことになります。
1つの施設に2~3人がお世話になりますが、実際働く時は一人。

もちろん事前に障害についての説明、福祉施設がどんな場所で、
どのような人たちが何の仕事をしているのかについては、
学校のガイダンスでも説明します。

が、それでも初めての場所、初めての経験ですので、
「一人で大丈夫かな?」「一体どんな人たちがいるのだろう?」と
不安を抱えながら出て行く生徒がほとんどです。

「大丈夫かな…、と不安に思いながら福祉施設に入っていったら、
そこの人たちがとてもニコニコしていて、
握手してきてくれたり『僕誰々です』と自己紹介して話しかけてくれて、
何だかとっても嬉しかった」

生徒たちはまず異口同音にその最初の体験を語ってくれます。
そこにいる人たちの素朴さ、フランクさ、
自他の壁のなさ、そして少し懐かしいような優しさ。

でもしばらくそこにいるとすぐに次の壁に当たります。
「何を話せばいいのだろう?」
「どうやってコミュニケーションを取ればいのだろう?」
「どうやって過ごせばいいのだろう?」

そこには普段の会話すらままならない人たちもいます。
急に叫びだす人もいます。
2~3日ならそのままやり過ごす事も出来ますが、
10日間という日程の中では流すことなどできず、
どのようにしてかそういった人たちと付き合い、
向き合っていかねばなりません。

でも、しばらく一緒にいると
「ああ、この人はこんなことが嫌なんだ」
「ここに気をつける必要があるんだ」とわかってくるのだそうです。
そして自分なりにそこにいる人たちとどのように付き合っていくのかを考え、
工夫していくのです。何も話さなくともその人たちのペースに合わせたり、
黙って時間を過ごしたり、中には昔習った指編みを教えてあげたり。
自分なりの方法で、いろんな人たちと
コミュニケーションをとっていく術を身につけて行くのです。
そうして彼らは障害を持っている人たちと素で向き合い、
付き合い方を学び、障害というものについて自分なりに掴み、
学校へ戻ってくるのです。

「このような機会を与えられなかったら、
自分は障害を持つ人とこんなふうに付き合う機会はなかったと思う」。

これからの人生、この学校の生徒たちにも、
障害を持つ人たちと付き合う機会が訪れることと思います。
そんな時、障害を持つ人たちに対して、彼らが先入観をもつことなく、
力むこともなく、素のままで付き合っていくことを、私は確信しています。
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学校報「プラネッツ」68号
『二つの体験実習で生徒が得たもの①』より

n*h


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