子ども部屋を片付ける日 ~卒業生保護者より~

いま我が家は大掃除の真最中。息子の部屋にあるものを全て片付けて、我が家の「書斎」にすることにしたのです。息子はもうすぐ大学4回生になります。遠い地方の大学に進学し、家を離れて一人暮らしをしています。このコロナ禍のこともあり、ほとんど帰省していません。

「部屋の片づけは本人がするもの。」という考えもあることでしょうが、息子の帰省を待っていたらいつになるかわかりません。そういうわけで、今後の暮らしをすっきりさせるためにも、夫と二人で「子ども部屋」を片付けています。

息子の部屋からは、懐かしいものがたくさん出てきます。手仕事で作ったものやエポックノート。そして…、膨大な量の紙があります。書かれている内容を一つ一つ見るわけではありませんが、備忘録的なものから、何かの練習などもあり、『思考して書く』機会が多かったことが感じられ、この積み重ねが今につながっているのかなと想像しています。

息子が大学に進学したのは、コロナ禍が始まった2020年春のことでした。世のなか全体に緊迫感がある中、準備も不十分なまま、ほぼ身一つで現地入りしてアパート暮しが始まりました。
入学式は中止となり、入学してからも登校には大きな制限がありました。たった一人でアパートにいる毎日。大学側も学生も、慣れないオンライン授業のスタート。すべてが手探りの中、ほとんど一人で乗り越えた初年度でした。
ただ、オンラインでの授業にも良い点はあったようです。たとえば、予習復習の時間を確保しやすいとか、わからないところを質問しやすいとか。なので、内容についていけずに困ることはなかったそうです。なにより、そのような状況の中でも、専門の研究者による大学の講義はとても面白く、知的な世界に触れることが刺激的だった様子がうかがえました。
そうこうするうち、次第にサークル活動やアルバイト、実習、リアル授業が始まり、2年目、3年目と大学生活は充実していきました。

口数の少ない息子はあまり多くのことは語りませんが、この数年ですっかり大人の顔つきになりました。いまは、大学での専攻が決まり、研究室も決まり、行きたい将来の方向も見えてきたようです。おそらく数年内には社会に出てゆくことでしょう。

今後、息子が帰省したとき、滞在するのは、『子ども部屋』ではなく『書斎』になります。親子であることに変わりはないのですが、子育ては終わり、新たな時代が来たのを感じます。

最後に、私が大好きな言葉を紹介します。京田辺シュタイナー学校のウェブサイト『自由への教育』にある文章です。

喜びを持って生きること
自ら考え、自分の行動に責任をもち、社会の力となっていける人
自分らしく、生き生きと世界に関わっていける人
私たちは、子どもがそのように育っていくことを願っています。


T.S.


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