若草色の葉がそよぐ4月半ば、「APUに行くかもしれないんだって!」とわが子が興奮気味に伝えてきた。10年クラスの生徒たちに、立命館アジア太平洋大学(APU)の留学生と異文化交流する機会が訪れたようなのだ。
その日以来、
「どうしよう、留学生との交流だから英語しか通じないらしい」
「どうしよう、英語でインタビューすることになるんだって」
「どうしよう、英語でプレゼンテーションしあったり、質疑応答もするんだって」。
どうしよう、どうしよう、どうしよう、の連呼の日々。
その表情が、興奮から青ざめ、そしてときどき緊張のあまりの大人へのやつ当たり、という調子で展開していったのはわが子だけではなさそうだった。
先生、クラスメートみなで必死に準備すること5週間。
ついに、その日、を迎えわが子は勢いよく荷物をバックに詰め込み、クラスメート、担任、副担任の先生とともに、一路APUのある大分へと向かっていった。
こちらは想像しながらただ待つのみ。
4日後、無事に帰宅してきたわが子が、大股で家に入って来た。そして、一息つくのもそこそこに報告しはじめた。
緊張したけど想像以上に自分から挑戦していけたこと、
気づいたら細かい文法など気にせず好きなアイドルグループや音楽の話で盛り上がっていたこと、
イヤダイヤダと思っていたのが嘘のように、この機会が与えられたことに感謝しながら帰路についたことなどなど、
クラスメート、そして出会った留学生や学生さんとの出来事も交えつつ、話だしたら止まらない。
翌日から、いつもの学校生活が再開しても、10年生たちの高揚はなかなか止まず、クラス内から「中国語のクラスも、週に一回は中国語オンリーの授業にして欲しい」という声も上がってきているという。
この奔放な若者たちのお相手を、日々全身全霊でつとめ、導いて下さっている先生方に、ただただ、感謝の念が尽きない。 A.S.