京田辺シュタイナー学校では、例年8年生になるとミニプロ(ミニプロジェクト)という、自由研究をします。
娘のクラスでは、4月から夏休みの終わりまでの5カ月間、時折担任の先生のアドバイスを受けながら各自が選んだテーマに取り組みました。
娘は、以前から好きだった和菓子作りをテーマに選び、12カ月の四季折々のお菓子を作り、レシピブックを作ることにしました。
「こしあん作りや難易度の高いものにも挑戦したい!」と意気揚々と始まった娘のミニプロ。12カ月分のお菓子が決まると、次は材料の準備です。選んだ和菓子の中には特殊な材料を使うものもありました。家にある材料で代用できそうなものもありましたが、近隣のお店では売っていないものもありました。インターネットで検索したり、お取り寄せしたりすれば簡単に済むことですが、娘の学年では子ども達がインターネットに触れることはありません。お菓子作りの好きなクラスメイトと情報交換したり、近隣のお店に取りよせてもらえるか聞いたり、製菓材料店に電話したり・・・材料が揃ったのは一学期の終わりとなりました。
夏休みは、連日エアコンの効かないキッチンで蒸し器や鍋との格闘となりました。夏にお馴染みの涼し気な和菓子が、「気が狂いそうになるほど暑い」中での、いくつもの工程の末に生まれると知った時には、娘と二人で今まで作ってくれた人々すべてに感謝しながら頂きました。いつも試食するだけの私は、時折娘に申し訳無いような気持ちになりましたが、娘はそんなことは気にも留めていない様子で、出来上がった和菓子を眺めてはニンマリ、食べてはニッコリしていました。
夏休みも終わりに近づく頃、レシピ作りが本格化しました。一番初めに書いたページを見せてもらうと、なんと、各工程すべてが図解付きです。私は「今から残りの11カ月分を書くのは不可能だ!」と心の中で叫びました。それからしばらくの間、我が家は「終わらな~いっ!」という娘の悲鳴がこだまする日々となりました。
9月半ばに、ミニプロについて各自がクラスの保護者に向けて発表する機会がありました。
発表は一人15分程度。資料をつかったり、実演をまじえたり、時には笑いをとったりして作品だけでなくプレゼンも大変個性豊かで、それぞれの成長を感じました。中には「作品が完成した時に、明日からミニプロが出来ないと思うとさびしくなった。」という発言もあり、悩んだり、気の遠くなるような地道な努力を重ねたりしていても、それぞれがミニプロを思う存分楽しんでいた様子が伝わって来ました。
発表を終えた夜、感動の冷めやらぬ私は、娘に「ミニプロ、頑張ったね。今日の夕ご飯で、お疲れ様会をしようよ!」と言いました。すると娘は「お菓子作りもレシピづくりも楽しかったし、ただ好きなことをやっただけだから、全然疲れてなんかいないんだよ。」と至って平常心。
「好き」ってスゴイ! C