高等部の扉


 上の子が9年生となり、この春ついに高等部の仲間入りをしました。

 見方によっては一学年進むだけともいえるのに、この8年生と9年生の境目は、さまざまな点で大きな変化があり、これまでどおり初・中等部の生徒たちと同じキャンパスを共有しながらも、9年生となり高等部に入るということは、まるで見えない大きな扉をあけて向こうの世界に飛び込むことのよう、と子どもはもちろん親も感じるこのごろです。

 たとえば英語のクラス一つとっても、文法的基礎を中心にじっくりと積み上げていくことを中心としたクラスと、膨大な語彙量と長文に真っ向から果敢に対峙することを中心としたクラスの2つがあり、その2つのクラスの時間配分は個々の特性と意向によって時折変動するよう。
 前者のクラスでは8年間親しんできた英語がパズルがはまるように理解が深まっていく感覚、後者のクラスでは真剣勝負で猛ダッシュを挑む先生に歯を食いしばって喰らいついていかないと振り落とされそうになる感覚をおぼえる。どちらの授業も先生のオーラとパッションがすごい……。という風に新学期早々伝えてきたわが子。

 他の科目もさらに本気課題が増えてきた様子だし、くわえて高等部の先輩とクラスや活動を共にする時間もグンと増え、さらには全国そして世界のシュタイナー学校高等部生と交流する機会も出てくるようで、対人交流の面でも背筋がピンとならざるを得ないことでしょう。
 
 春休みに模様替えをし、小さな自分の空間になにやらリラックススペースとおもえるようなものをつくっていたわが子ですが、いよいよ高等部生活のスタートした今、勉強机とマイリラックススペースのクッションを行き来しながらさまざまに奮闘している空気が子ども部屋の外まで漂ってきます。
 
 先日、つい、
「高等部……たいへん?」と、声をかけてしまいました。
 すると、

「どんどん自分からやっていかなきゃならない。」

 壁ごしに戻ってきた、声のトーンに、なんとなく力づよさを感じ、しばらくはもう聞くまい、といいきかせてみた初夏の日です。  M.T.

保護者ブログ一覧へ
このページのトップへ