12年生が卒業して1週間後、
今度は、これまでの8年間守り導いてくれた担任の先生の下を離れ、
8年生が高等部へと進学する区切りの卒業式が行われました。
そして、これに先立つ3日間、
8年生による卒業演劇『シンベリン』が上演されました。
本校ではさまざまな機会に小さな劇を体験しますが、
卒業を前にした8年生と12年生では
それまでの学びの集大成として、大きな演劇を行います。
8年生の卒業演劇は、古典の作品の中から取り上げられることが多く、
今年もシェークスピアの作品が選ばれました。
『どんなに重い悲劇でも
せりふ回しや動きにはある程度の快活さが求められます。
それは劇が、テンポを持って前に進むものだという
大前提があるからだと言われています。
私がいつも劇づくりで伝えたいことは、
この「前に進む」ということです。
何があっても進もうとする意志、
それは大きくいえば
「生きる意志」にもつながる力強い姿勢です。
本番、大勢の人の前で自分の体ひとつで立っている中、
何がやってきても大丈夫という
心の準備や覚悟を決めることは
容易なことではありません。
その決心に力をくれたり、自信をくれるのは、
それまで真剣に積み上げてきた練習です。
練習はいつも本番に臨むくらい真剣で、
セリフや出入りの間違いなど、全部細かく直しました。
その時々で止めながら、
できないところは何度でも繰り返しました。
けれども、これは、
本番で完璧にできるためにしているのではなく、
「覚悟する」「受け入れる」「肯定する」
といった姿勢を支えるためです。』 (『小学生と思春期のための シュタイナー教育』より)
これは、本校の第1回目の8年生卒業演劇を指導されたときの、
ある先生の文章の抜粋です。
こうして役を演じる練習の傍ら、
大道具・小道具を作る、
衣装を縫う、
ポスターやパンフレットを描く、
楽器を演奏するなど、
これまでに学んできたさまざまな要素をこの演劇に応用するために、
一人ひとりが持てる力を活かし、お互いに協力し合うことで、
ひとつの演劇が作り上げられていきます。
決して順調にばかりいくとは限らないこの最後の大きな山。
むしろ、不安や葛藤のほうが多いことでしょう。
それでも、これを乗り越えて、
幕が下りた後に晴れ晴れとした笑顔を見せてくれた彼らに、
今年も惜しみない拍手が送られました。
n*h