シュタイナー学校の「勉強」

「シュタイナー学校では教科書を使わず、教員が板書した絵や言葉を自分でノートに写し、それが『私だけの教科書』になる」
「シュタイナー学校の授業は、『数』や『言葉』のエポックでも、詩を唱え、体を動かし、歌を歌い、お話を聞き、絵を描きながら、そのトピックが自然と一人一人の体や心に染み込むように進められる」
こういうことを、シュタイナー教育の特徴としてお聞きになったことがあるかもしれません。

確かに、低学年のうちは机に向かってノートを書く時間も少なく、頭で何かを覚えるということもほとんど無いようです。「まるで遊んでいるみたいだけれど、大丈夫?」という不安が保護者の間によぎったりもします。子どもたちは逆に、そんな遊びのような楽しい授業が大好きなのですが、それでも少しずつ、それが物足りなくなってきます。

ちょうどそんな頃、2年生の終わりには、覚えた九九を一人ずつ先生に聞いてもらう、ということが始まります。それまでは皆で一緒にしていたことを、一人で、しかも先生の前で、というのは大きな挑戦ですが、上手くできた時、自分の九九カードにスタンプが増えてゆくのは、新しい喜びでもあります。

そして3年生頃からは、「待ちに待った」宿題が始まります。初めのうちは、3行ほどの絵日記や「季節のしるしを探そう」といったものですが、毎日、下校後すぐやることになっています。それが次第に計算や漢字の練習など時間のかかるものになってくると、遊ぶ時間が減る!と文句も出てくるようになりますが、それでも「まず宿題」は体に染み込んでいます。

長女のクラスでは5年生になってから、「漢字の力試し」と「英語の書取り・暗唱テスト」が始まりました。あらかじめ宿題に出たものを消化していればそれほど難しくないのですが、出来不出来がはっきりと分かってしまいます。けれどそれは「勝った/負けた」という感情につながるのではなく、クラスメイトの得意なことを知る機会となり、授業中は子ども同士で教え合うこともあるそうです。また勉強に限らず、クラスで劇などに取り組む際にも「誰々は何々が得意」ということを認め合いながら協力して進めることが出来るようになってきました。

外遊びよりも家で本を読むほうが好きな長女は、テストはやる気満々ですが体育の日はユウウツというタイプの子です。けれど、10月の古代オリンピックとそれに向けて毎日走り込んだ日々はとても充実していたようで、終わってしまったのが残念だと今でも呟くほどです。こつこつ続けて自分の力を伸ばすことに喜びを感じる年頃のようです。

自分が書いたエポックノート、そしてシュタイナー学校の日々でつくり上げた自分自身は、今後の人生における「私だけの教科書」となるに違いありません。

Y.T.

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