京田辺シュタイナー学校は8年生(中学2年生)で小中等部が終了となり、卒業演劇があります。
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息子は人前に出るのはあまり好きではなく、台詞を覚えるのもあまり得意ではなく、できるだけ目立たない台詞の少ない役を希望するのかと想像していました。
が、違いました。
「大きな役をやってみたいけど、無理だと思ったんだけど希望してみたんだ」
と、意外にも、台詞が多い役柄に手をあげました。
練習が始まると、
「僕はね、息子を怒る役なんだけれど、迫力が足りないんだ」
「そもそも、僕はあんまり怒ったことがないんだ」
と、たいへん苦労しているようです。
普段、息子は機嫌が悪くなることはあっても、目に見えて怒りを発散することはあまりありません。
友達とけんかをしても本気で怒ったことは数回しかない、といいます。
烈火の如く怒られるという経験もあまりなかったかもしれません。「怒る」ことにチャレンジする機会を与えられています。
また、演劇を作り上げて行くなかでは、役柄に取り組むだけでなく、劇作業に全員が関わるという別の側面もあります.
国語、歴史、地理、数学、手仕事、美術、音楽、etc、これまでの学びが生かされて、衣装も音楽も大道具も小道具も、全部自分たちで作り上げて行きます。
自分たちそれぞれの力を劇を作り上げる上で役立てるために、いくつかの作業チームに分かれます。皆、自分が精一杯取り組めるもの、役立てるものを考え選びますが、息子は、その作業チームでは音楽を希望しました。
どちらかというと、息子は木工が得意で、音楽は家での一人の趣味です。「誰とも好みが合わないんだよね」と言っていたので、正直、作業では道具つくりを希望するだろうと思っていました。
誰とも共有できないといっていた趣味の音楽で、人の役にたてると思ったことに驚きました。
演劇に取り組む、そのプロセスから学ぶことは大きいと実感します。
私は、「この子はこうね」と、親の思い込みがあったことに気がつかされています。
先生から、どんなプロセスで役を決めていったか、そして子どもたちがどのように劇に取り組んでいるかといったことを、うかがいました。
役柄も作業も、それぞれの子どもが自分で考え、影響し合い、必要な課題と向き合っていると感じられます。子どもたちが、思いっきり力を発揮できますように。
T.S.