我が家は、二年まえに京田辺に引っ越してきました。
そして、京田辺シュタイナー学校の5年生に編入しました。
人見知りがちな我が子は馴染むのに時間がかかるだろうと思ったのですが杞憂でした。
むしろ、馴染むのに時間がかかったのは、親の方だったかもしれません。
親と教師が力をあわせて成り立っている学校ということは知っていたので、出来る範囲ではあっても何か協力したいと思っていました。が、何をしていいのやら、運営会議、学年会、全学年連絡会と、たくさん集まりがあって、その熱を感じるものの、どうしても自分のものとして動くことができませんでした。
数ヶ月が過ぎた頃「知ろうとする努力が必要」という言葉を聞き、小さなお手伝いの呼びかけに答えることから始まって、「私ができること」を自分なりに見つけることができました。そして、次第に、実は手伝って欲しいと思っている親のワーキンググループは沢山あるし、困っていたら助けたいという気持ちを持っている親仲間がたくさんいることにも気がつきました。そんな周囲に気がつくためには自分から動く一歩が必要でした。
「編入したときに苦労なく馴染んだね」と二年経ったころに子どもに言いましたら、憮然として「そんなことないよ」。
すんなり馴染んだように見えたのですが、とても勇気が必要な場面が多々あったようでした。
たとえば、校門を入るとき、教室に入るとき、友達の輪に入るとき、「見えない壁があるんだよ。そしてその壁は、自分で壊して入らないと行けないんだ」と子どもは言いました。
外から見ていると、先生もクラスの仲間たちもあたたかく迎えてくれて、すんなり馴染んだと感じていたのですが、クラスの仲間のあたたかさを受け取り、クラスの一員となるために、子どももまた「自分で踏み出す一歩」に立ち向かっていたんだなあ…….
「最初の一歩」が自発的に出て来るのを、手を差しのべつつ待っていてくれる、そんな環境がこの学校にはあるのかもしれません。
T.S