羊から学ぶこと 生活科 手仕事  |

本校の手仕事の授業では、さまざまな形で羊毛に慣れ親しみます。また、3年生では生活科で羊の毛刈りを行います。

何かとお世話になっている羊さん。今年4年生の娘が、入学して初めての手仕事の授業でしたこと。それは羊毛をさわることからでした。

さわる、感じる

入学して間もない1年生のある日、学校から羊毛を持ち帰ってきました。紡がれていない羊毛をさわるのが初めてだった娘は、

「ふわふわであったかい。手で握っていると、手があったかくなってくるんだよ。すごいでしょ」

と、何か素敵な発見をしたように私に教えてくれました。

また、その時の授業では、毛刈りをした後の羊毛を洗う作業も行ったようです。

「くさかった~ごみがいっぱいついてた。洗って乾かしたらきれいになったよ」

と羊さんのにおいを感じながらも、いっしょうけんめい洗った様子がうかがえました。

その後、手仕事の授業で羊毛の作品をいくつか作り、家に持って帰ってきました。まだ思うように動かない小さな手でよくがんばったなという作品ばかりでした。

秋からの授業では、指編みで自分用の羊毛のマフラーを作りました。そして冬の登下校の時、子どもたちの首元には色とりどりのマフラーが。みんな自分で編んだものなので、どこか誇らしげです。冬の空に映えるマフラーの色がとてもきれいでした。

始めから終わりまで

3年生の5月のある日。娘のクラスは生活科の授業の一環で羊の毛刈りに行きました。バスで牧場に行くのを娘は前日からとても楽しみにしており、帰ってきてからいろんな報告をしてくれました。

マコちゃんという羊の毛を刈ったこと、毛を刈るはさみが大きくて、マコちゃんを傷つけないか心配だったこと、マコちゃんは2歳なのにもうお母さんだということ、羊さんに草をあげたらよく食べる草と食べない草があったこと・・・話は尽きません!

実は・・・子どもたちに内緒で、その一週間前にクラスのお母さんたち数人で、同じ牧場で毛刈りの体験をしました。子どもたちと同じ体験ができるなんて楽しみ!私も羊の毛刈りは初めてです。横たわる羊さんに(マロンちゃんという名前でした)、少しビクビクしながらも毛をはさみで切り、少し慣れてくると、ザクザクと切れるようになりました。

羊の体温、におい、羊の毛に含まれているオイルで手がべとべとすること、そんなことを子どもたちも体いっぱい感じてきたのだなあと思いました。何より牧場で「め~~」と鳴く羊さんたちのかわいいこと!子どもたちもそのかわいさにメロメロだったのでしょう。

秋、娘たちのクラスはマコちゃんの毛を洗い、玉ねぎの皮とセイタカアワダチソウで染めました。そしてその毛を紡いで毛糸にして、それを織って小さいコースターを作りました。羊の毛刈りをし、糸を紡いで、自分で使うものを作る。そのすべてを体験しました。

世界と出会い心が動く

羊という生き物からいただいた毛で、毛糸がどうやって作られるのか、その過程をすべて体験できたことは、子どもたちにとって、この世界でしっかりと立ち、生きていく自信のようなものを手にしたことでしょう。

羊の毛がくさかったとか、ふわふわの手ざわりとか、ドキドキしながら毛刈りをしたことは、いつか忘れてしまうかもしれません。けれど心を動かす体験は、きっと体の奥深くにしみこんで、体は覚えていることでしょう。そして自分が何かやりたいことがあったときに、ふとそこから芽が出て育っていき、手がかりとなってくれる。羊という生き物を通して学ぶことで、子どもたちはいきいきと心を動かしてこの世界と出会い、豊かに自らを育んでいるのだと思います。羊さんありがとう!

≪4年生保護者≫



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