校庭のルーツをたずねて 保護者活動  |

グラウンドの木々から落ちる実で子どもたちは思い思いに遊び、校庭は色とりどりの季節の花々やハーブで溢れる本校。初めて訪れた時、「ようこそ」と、植物たちが歓迎してくれているような気がしました。

でも、最初からこんな緑ゆたかな場所だったの?

今回は卒業生保護者さんに、校庭のルーツについて、いろいろなお話を伺ってきました。

土を耕すところから

開校当初、教員、そして保護者も、毎日をこなすだけで精一杯という日々でした。明らかにオーバーワークだった事務職員の代わりに、電話当番だけでも、と交替で学校に行き、夜は夜で連日会議続きの中、場の空気はなんとなくギスギスしていきました。学校のことを考えない日はなく、皆が学校の未来を考えているのに…

そんな中、殺風景なところでは育つものも育たない、環境から整えていこう、と立ち上がった保護者がいました。当時、グラウンド周辺の土はガチガチに硬く、とても植物を植えられるような状態ではなかったそうです。石を拾い、硬い土をコツコツと耕し、知人の山からコナラなどの落葉樹の苗をもらってきて植え…、そんな姿を見て、「皆が学校のために話し合っているのに」という声も上がる中、ひとり、またひとりと同じ思いをもつ人が集まり、だんだんと定着する植物の苗も増えていきました。

桑の木とさくらんぼの木

校庭には、毎年赤くて美味しい実をたくさんつけてくれる、さくらんぼの木があります。生活科のある3年生が収穫しますが、自分たちでいただくだけでなく、お休みの子には冷凍しておくなど、さまざまな形で全校生徒にお裾分けがあります。自分の分から一粒、大切に持って帰って家族のお土産にする子も。そんなさくらんぼの木は、卒業の記念樹として植えられたものだそうです。

4年生では、蚕を育てますが、そのエサとなる桑の葉は、当初校内で募って集めていました。ただ、蚕はとても繊細で、薬剤散布がされた葉だと、食べなかったり育たないこともあったようで、校内にあったらいいのに、という声から、苗をもらってきて植えることになりました。しかし、前述したように硬い土では、根づくものも根付きません。乗馬クラブに行って馬糞の山(!)を分けてくださいとお願いし、土に漉き込んだりしたそうです。おかげで、桑の木は今では見事な大木に。蚕のエサに困ることもなくなり、実は小腹を満たす子どもたちのおやつになっているとか…?

花いっぱいで送ってあげたい

校舎に向かって左側、歴代3年生の家々が建つスペースの横に、石の小道があります。昔は小道から垣根に向かって1メートルほどは花壇になっていて、季節の花々が溢れていました。花いっぱいの卒業式や入学式にしたい、そんな願いがこめられた場所だったそうです。残念ながら家を建てるスペースを確保するために、年々花壇は縮小。けれども、空きスペースを見つけては花を植え、1つ育てばその陰でまた何かが育つ、と、植物の数を増やしていきました。ハーブ類が今も多いのは、乾燥に強く、料理にも使えると考えられてのことでした。 

「みどりのゆび」へ

こうして、校内に少しずつ緑が増えてゆき、みんな楽しんで活動していましたが、学校の規模も少しずつ大きくなり、継続して活動できるように、と立ち上げたのが「みどりのゆび」ワーキンググループ(*)です。今も、グループメンバーは季節の花々を学校に飾り、植栽や木々の手入れをしています。大がかりな樹木の伐採や芝生の養生を担当する、お父さんチームも近年発足しています。

お話を伺ってみて

本校は、2025年に開校25周年を迎えます。初めは草一本育たないようなところから、今の姿になるまで、関わってきた一人一人の、「今自分に出来ること」に対する思いと行動に感動しました。

今ある姿は決して当たり前ではない、だからこそ、バトンを受けとった私たちに何ができるのか、そんなことも考えました。

*ワーキンググループ:保護者が任意で所属する、学校運営のためのグループ。



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