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資源回収の日に 

 
その日は、学校の資源回収の日でした。 
学校は代休で、静かなグラウンドでは学童保育に入っている子が数人、遊んでいました。
秋祭りで使った段ボールの片付けのため、わが家の6年生の長男と4年生の次男も一緒。
3人にはちょっと手に余る量の段ボールでしたから、私は遊んでいた次男のクラスメートに「手伝ってくれない?」と声をかけました。 
Aくんは、 「うん、いいよー」 と、すぐに遊びの手を止めて駆け寄ってきてくれます。
次に声をかけたBくんは、 「えぇーっ、なんで?」 と言ったかと思うと、一輪車に乗って走り去ってしまい、 
Cくんはきっぱり「俺、今日学童15時までやねん。だから遊ぶのに集中したい!」 と言って遊びに戻りました。
3人3様だなあと苦笑しながら作業を始めると、「どれ運んだらいいん?」 と、Bくんがやってきました。 
手押し車をAくんが持ってきてくれると、みるみる作業が捗りはじめ、程なくして段ボールは回収場所にきれいに積みあげられました。 
帰る道々、次男が、「Aくんはな、何にでも興味を持ってて、頼んだらすぐ来てくれるとこがええとこ。 Bくんは、口ではああいうけど、ちゃんと手伝ってくれるのがええとこ。Cくんは、自分の言ったことを曲げないでやり続けるとこが、ええとこやねん。」 と言うのです。
私は少し、いえ、かなり驚きました。 
次男が、クラスの友だち一人ひとりを、目先の手伝う、手伝わないという出来事を越えた、もっと深いところで受け入れている、と感じたからです。 
次男の生まれ持った人柄以上の何かが、そこにはありました。 
 実は、私はBくんのなんで?と、Cくんの断りように、少し苛立ちを感じていたのです。段ボールがたくさんあって大変なのは見たらわかるはず、手伝ってくれてもいいのにと。 
 

信頼の中で育つ

次男は1年生から、同じクラスメートと過ごしています。 
シュタイナー学校には基本、クラス替えはなく、7歳から18歳までの12年間同じメンバー。担任の教員も初中等部を通じて8年生(中学2年生)までは同じです。 
次男の様子や、教員と話していて感じるのは、自分の置かれている環境(世界)への、そして自分自身への強い信頼です。
私自身が4年生のときは、もっと大人や周りの子どもたちの顔色を見ていたし、自分の思っていることと違っても、同調したりしていたと思います。大切に育ててもらったとは思いますが、何が違うのだろう? 

 大切な「ええとこ」 

シュタイナー学校では、登下校の時、担任の教員が一人一人と握手をし、目を見て挨拶をします。 話し合いひとつにしても、手をあげて数を比べたりはしますが、多数決はしません。
教員も子どもたちも一人一人の意見に耳を傾けるので、いろいろな意見を聞いて受け入れ、違う意見も言えます。そしてみんなが納得してから結論を出すのです。 
そのように、1年生のころから、周りの人すべてに自分自身を受け入れてもらい、尊重される経験を積み重ねているので、周りへはもちろん、自分自身への強い信頼が育まれるのです。
学校を環境とするなら、家庭も同じです。
保護者は、子どもにとってよりよい環境とは何か、学びを重ね、成長しようと努力します。
 12年間同じクラスで、関係性を保つのが大変じゃないの?と聞かれることがよくあります。
大変ではない、とは言えませんが、それ以上に、子どもたちの中に育つものの素晴らしさに、大人が努力しない訳にはいかない、というほうが近いでしょうか。 
次男のおかげで、私はクラスの子どもたちの「ええとこ」を見失わずに済みました。 また、これから成長していく子どもたちに「環境」である大人の一人として、どう接していくのか、という大切なことを教わることができたのです。
 
≪4年保護者≫

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