教育内容
シュタイナー教育では子どもの成長段階に応じて、子どもの世界を広げながら、必要なものを育てていきます。
高等部では、どの教科もエポックノートの文章は添削を受けながら基本的に全部自分で完成させていきます。国語の科目としては年間2つのエポックを設けている一方で、高校卒業程度認定試験に向けた勉強や小論文の練習をするなど、一般的な高校の国語の授業と同様の内容にも取り組んでいます。最終学年ではそれまでに培ってきた様々な学びの集大成として、演劇公演と卒業プロジェクトという2つの課題に挑戦し、感じる力、表現する力、論理的思考力など総合的な力を駆使することが求められます。
思春期の生徒たちは、物事に反発する姿勢を示しながら同時に関心を寄せ、世界の様々な側面や考え方に興味を持ち、視野を広げていきます。 9年生ではエポック「言葉の美学」として、演劇・詩・文学の3つの切り口から“言葉を通して表される芸術”を探求します。“対極”をテーマに悲劇と喜劇を比較する、修辞法と内面の変化を感じ取りながら詩を作る、文学作品を読むなどの取り組みを重ねます。エポック中盤にはクラスで「詩のライブ」を、終盤には「クラスの詩集制作」を行います。
世界や社会に視野を広げた生徒たちは、やがて対極の中に中庸を見つけ出す時期に入ります。一人ひとりが様々な対極の中に自分の立つ位置を見出し始めるのに合わせ、自分のルーツとしての日本のこころがテーマになります。 エポック「太平洋戦争の時代を通して」では日本人の国民性・精神性について、「源氏物語」では平安の時代の人々の生活や意識に触れながら、日本のこころの底流に流れているものを探っていきます。
自分という中心が目覚めることで、生徒は今までよりも深く自分の内面に目を向け始め、11年生は、年間を通して自己の探求がテーマになります。 エポック「パルチバール」では少年の成長の物語を味わいながら、人生について、自己の成長について考え、話し合います。「自分を論ずる」では自分の生き方を探し求めた人たちの作品を取り上げ、そのテーマについて考えます。また、自分の主張を組み立て、論理立てて文章にする練習も行います。
各エポックでのこれまでの学びの集大成として、「現代を生きる私たちと各教科の学びについて」をテーマとして取り上げ、いよいよ社会へと旅立つ彼らを世界へつないでいこうとします。文学エポックの題材としても、未来を考えるものを取り上げています。 「社会の未来を考える」では宮沢賢治の作品を題材に、宮沢賢治が理想に描いた社会やその思想を読み取る作業を通して、社会のあるべき未来の姿について考え、話し合います。