教育内容
シュタイナー教育では子どもの成長段階に応じて、子どもの世界を広げながら、必要なものを育てていきます。
シュタイナー教育では、子どもの成長段階に応じて、その時期に必要な力をゆっくりと育てていきます。授業内容は、学年の特徴に合わせて考えられています。
この時期の生徒の内面は、対極という言葉で表現できます。思春期の生徒たちは、一方で自分を取り巻く世界や社会に対して反発する姿勢を示しながら、同時に、今まで以上にそこに関心をよせてきます。そして、実際に世界を作っている物質的な側面や様々な考え方などにも興味をもち、視野を広げていきます。この時期、物理学では、産業の発展を大きく促した機械の原理を学び、人間学では、人間の最も物質的な部分である骨格を学びます。また、地学では地球の骨格である山脈や大陸に働く力などを学びます。
世界や社会に視野を広げ、そこにある様々な側面を見てきた生徒たちは、やがて対極の中に中庸を見つけ出す時期に入ります。この時期に入ると、生徒同士の関係性にも大きな変化が表れます。例えば、話し合いの中で意見が対立したとしても、自分とは違う意見にも耳を傾け聞き合い、対立する意見の中からそれらを総合して結論を生み出すことができるようになっていくのです。これは、生徒一人ひとりが様々な対極の中に自分の立つ位置を見出し、生徒の内面に自分という中心が生まれ始めたことの表れでもあります。この時期、様々な対極の間にバランスを見出す人間の代謝生理の学びや、自らの立地点を基に世界を正確に測っていく測量実習を行います。
自分という中心が目覚めることで、生徒は今までよりもより深く自分の内面に目を向け、自分の人生というものについて具体的に考え始める時期に入ります。11年生では年間を通して自己の探求がテーマになり、それらをテーマとする文学作品をはじめ、哲学、心理学などの学びが取り上げられます。自分の内面に入っていこうとする一方で、その自分を社会のどこにつないで行けるのか、労働実習、福祉実習を通して、実際に社会の一端を体験しながら探っていきます。そして、自分の興味や関心がどこにあるのかを探求し、12年生での卒業プロジェクトのテーマを決めていきます。
各エポックではこれまでの学びの集大成として、「現代を生きる私たちと各教科の学びについて」がテーマとして取り上げられ、いよいよ社会へと旅立つ彼らを世界へつないでいこうとします。また、これまでの長い人間関係の積み重ねの上に、クラスとして卒業演劇に取り組み、作品作りを通して各々が自分自身に向き合い、励まし合いながら一つのものを作り上げて行きます。このクラスとしての演劇の体験の上に、今度は個々が1年前から温めてきたテーマに沿って卒業プロジェクトの完成に向かいます。自分の課題と直面しながら遣り通して行く、卒業プロジェクトのプロセスや最終的な作品や発表する姿に、生徒一人ひとりの到達点を見つめ、卒業を祝福します。