先生の鐘

先日、午前中に用事があって学校へ行きました。
校庭から校舎のほうへ向かっていると、
「リリン、リリン」と小さな鐘の音。
見ると、1階の教室の前で、先生が校庭のほうを見ながら
手に持った鐘をならしていました。
用事を済ませて校舎から出ると、今度は2階から同じような鐘の音。
別の先生が2階の廊下を歩きながら鐘をならしています。
教室の外で遊んでいた子どもたちでしょうか、
先生の周りに集まって一緒に教室へと向かっていました。

本校には始業時間などを知らせるチャイムがありません。
朝、メインレッスンの始まりのときに、鐘がならされるだけです。
そしてその鐘とは別に、低学年の教室には小さな鐘が置いてあり、
休み時間の終わりなどは担任の先生がこの鐘をならして知らせます。
12学年が一緒に学んでいる本校では、
授業時間の長さが高学年と低学年では異なります。
また、同じ低学年でもその日の授業内容などによって
他の学年と少しずつ休み時間が前後することもあります。
まだ時計を持たない低学年の生徒たちは、
それぞれの担任の先生がならす鐘で、
自分たちのクラスの休み時間が終わったことがわかるのです。

「鉄棒のところ(校庭の奥、校舎からいちばん離れたところにあります)
で遊んでいても聞こえるの?」
ちょうど2,3日前、娘に聞いたばかりでした。
「うん、聞こえる」と自信たっぷりの娘。
音やならし方が違うのか、鐘の音だけで
どの先生がならしているのかわかる、という子もいるようです。

担任の先生が持っている鐘は直径5~6センチくらいのものです。
その小さくて澄んだ音は、
「意識して聞く」ということを促しているように思えました。

ちょっとほほえましかったのは、
鐘をならして呼んでいる先生と、呼ばれて集まってくる生徒たちが、
なんだか親鳥と雛のようにも見えたことでした。

n*h


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