抜けるような青い空に湧き立つ雲の峰がまぶしい。
昼寝から目を覚ますと、8年生の娘がエポックノートを広げて、地球をとりまく大気の様子をパステルで描いていた。無色の対流圏の上は、彼女好みのレモンイエローとライムグリーン、そしてラベンダーで色分けされて、下から順に成層圏、中間圏、熱圏と色鉛筆で書いてある。地球学の夏休みの宿題らしい。へー、外の夏空の上の方はこうなっているのか。わたしも習ったはずだけどな。そんなことを思いながら、宿題の1ページが仕上がるのを見ていた。
そういえば、この学校に編入して以来、子どもたちが宿題をする様子を眺めるのが、わたしの楽しみの一つになっている。5本の編み針の扱いに苦戦しながら靴下を編んでいたことや、木塊を削って作った器やスプーンを、根気よくヤスリがけしていたこともある。先生が作ってくださる誕生日の詩を唱えたり、歌や笛のパート練習をしたり、劇の台詞を覚えたり、宿題はさまざまだ。
植物のロゼットを探す宿題が出たときや、俳句作りの宿題が出たときは、5年生だった娘と近所の畦道を散歩した。地面に張り付いて冬越しする葉は、個々に美しい色と形をしていた。それまで目にしていたはずだけれど、見ているようで見ていなかったのかもしれない。さえずりながら空に溶け込んでいく雲雀を一緒に見た。声を頼りに見つけっこするのが楽しかったらしく、娘はそれを俳句に詠んだ。
この学校へきて、娘たちは新しい世界と出会い、わたしは世界と出会い直している気がする。量が多いと嘆く彼女たちをよそに、わたしはこの夏休みの宿題も楽しみにしている。 h