夏休みに我が家に新しい家族がやってきました。家族と言っても動物、しかもぬいぐるみです。
京田辺シュタイナー学校では、例年6年生は手仕事の授業でぬいぐるみをつくります。
先生の「四つ足の動物であれば好きなものを作っていい」との言葉に、娘は迷わず、ずっと飼いたかったウサギを選びました。
綿の簡素な布で作られたこのウサギ、四枚の布を剥ぎ合わせただけの素朴な佇まいで、売り物には無いなんとも言えない味わいがあります。でも、よく見ると、ただのゆるキャラではなさそうです。改めて型紙の起こし方を尋ねてみると、娘が描いた、ウサギを横から見た一枚の絵を元にして、あとは、絵の上の方を折り、体の厚み部分を割り出しただけというから驚きです。私が上手く飲み込めずにいると、「そんなこともわからないのか」という顔で、娘は型紙づくりを再現してくれましたが、やっぱり狐につままれたような感じです。なんでも、洋裁の道に進んだ卒業生も、このぬいぐるみの授業を振り返って、専門の学生でも難しいようなことをしていたんだと改めて驚いたとか。
一学期の終わりには、学校で手仕事の先生の説明を交え、他のクラスメートの作品を見る機会に恵まれました。ネズミ、犬、猫、鹿、馬、カワウソ、コアラ、ワニ・・・。個性あふれる動物たちからは、作り手の個性と情熱が伝わってきます。顔にびっしりと縫いこまれた毛糸のタテガミが迫力満点のバッファロー、しっぽの縞模様が緻密に刺繍されたレッサーパンダ。白い布に黒の縞模様がリアルなシマウマは、クレヨンなどで縞を描いたらどうかという先生のアドバイスには見向きもせず、家に持ち帰って、必死で初めての刺繍と格闘した男の子の手になるもの。皆、楽しくってしょうがない様子で、ぬいぐるみづくりに没頭していたそうです。
完成後は、動物園に見立てて動物たちを生き生きと配置しました。その後、ポスターやチラシを作って他の学年の生徒を招待したそうです。
それぞれのイメージを形にし、イマジネーションの世界をたっぷりと味わったぬいぐるみづくり。微笑ましい中にも、一人一人の内なる「種」が大切に育まれていることを感じました。
C.T