9年7年の保護者です。
レストランを経営しています。
普段はほぼ仕事をしているので、他学年の子どもたちのことは、あまり詳しくありません。
それが、昨年、私のお店に労働体験実習で、11年生の男の子がやってきました。
本校では、11年生になると、自分の興味のある職業を約1週間体験するというカリキュラムがあるのです。
来る子どもの方も不安でしょうが、受け入れるこちら側も、実は不安です。どんな子だろう、どう接したらいいだろう、どんな経験を持ち帰らせてあげることが出来るだろうなど、色々悩みました。悩んだ挙句に、学校の子どもだということは忘れて、特別扱いはせず、普通の社会人として接することに決めました。
「声が小さいよ」とか「挨拶はハッキリね」など当たり前のことを注意します。厨房職が希望ということでしたが、せっかくの一週間だから、レストランの仕事を出来る限り見せてあげようと思い、掃除・ホール・企画・広報など、料理を作る以外の仕事もなるべく経験してもらいました。
教える中で、「あれ、これまで私が教えてきた若者たちとはちょっと違うな」と思ったことが二つあります。一つは注意をされたときに素直だということ。もう一つは、自分の中のベストを尽くそうとすること。「この程度やったらいいかな」とラインを探ろうとする子が多い中、「美しさ」を目指そうとする意欲を感じました。
ややもすると、私たちプロの側でさえ、時間に追われ、仕事に追われる中で、「うーん、このぐらいでいいか」なんて思ってしまいがちです。レストランという仕事の目標<食で人を喜ばせる>ことにまっすぐで、一瞬一瞬成長しようとする姿は、私たちがついうっかり忘れていたことを思い出させてくれるのに十分でした。
彼が去る日はみなさみしくて“実習生ロス”を感じたほど。実習生を受け入れた時間は、教えるつもりが教わり、大切な宝物をたくさん頂けた時間だったのでした。
y.k