8年生、自分の決めたテーマに取り組む

 京田辺シュタイナー学校のゴールデンウィークは、AWTC2015(アジアヴァルドルフ教員会議)が日本で開催されたため、例年より長く、お休みが二週間近くもありました。
 その長いゴールデンウィークの休み中、8年生のクラスの子どもたちは事前に先生と話し合い、それぞれ自分の興味のあること、やってみたいことにじっくりと取り組むという課題に取り組みました。

 クラスで決まったルールは、任意の5日×3時間を取り組み時間として確保。自転車や旅行系、調べ学習、絵、手仕事、音楽、などそれまでのクラスでの学びや興味のあることの中からテーマを選び、カタチに残らないものとして終わらせず、作品、レポートなどにするということ。

 親の関わりは安全への目配りと日程的に時間が確保できるようにすること、材料費、交通費などの相談、あとは子どもの自主性に任せ、陰ながらの応援です。

 「好きなことを時間気にせずにやりたいんだ」
はりきった息子が選んだテーマは「古地図の複製つくり」でした。
息子は古い地図が大好きで、いつも休みのときにはひとりで古書店や大きな図書館で古地図にひたっていますが、学校のことで忙しい日常では思う存分とはいきません。いつもは中断せざるを得ない古地図の世界にじっくり公然と取り組むチャンスの到来に、夢はふくらみました。
見守る予定だったのに、初っ端から「計画が甘い」と、ついつい口に出てしまった母の言葉は聞き流し、家族との出かけに難色をしめし、友達の誘いも断り、マイペースな息子は毎日毎日机に向かってゆっくり手を動かしていました。

 途中、インクを垂らしてしまったり、縮小図のため細かな字は書ききれずに省略が必要になったり、他の地図も描きたくなったり、いろいろな出来事があり、きりばりの修正を重ねつつ、ついに完成!何はともあれよくやった!

 「ゴールデンウィーク、12日間もあったんだ、そんなに長かったように感じなかったなあ、忙しかったなあ、あっという間だったなあ」
最終日の息子の言葉です。息子の様子にはちっとも忙しさは感じられなかったのですが、心の中ではたくさんのことが動き、忙しかったのかもしれません。

 休みがあけて、自分の好きなことを思いっきり深めた日々は終わり、発表準備に入りました。
「みんなの話を聞くとさあ、何かもったいなかったような気がするなあ、考えてみれば行こうと思えばおばあちゃんちに行くこともできたんだ」と、旅行先をテーマに選んだ友達をうらやましく思う気持ち、他のテーマに興味を持つ気持ちも湧いてきたようです。

 そんな息子の様子に、友達の豊かさを知ることも大事なことなんだよ、と、心の中でつぶやきました。

T.S.

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