演劇を通じて育まれること・後編 演劇#ブログ  #演劇   |

前編では、我が子の体験を中心に、演劇を通じて自分を表現することを楽しみながら、クラスメイトと共に育ち合う2、3年生の姿をお伝えしました。

後編では、その後の子どもたちの劇への取り組みのお話と、保護者が演劇にチャレンジした体験談を綴っていきたいと思います。

 

創り出すために必要なこととは?

劇に取り組んだり、観劇をする機会はミカエル祭や年例祭以外にも続き、
初等・中等部の最終学年である8年生の卒業演劇ではシェイクスアの喜劇、高等部10年生ではシェイクスピアの悲劇に取り組みます。
さらに12年生では、12年間の学びの集大成としての「卒業演劇」が行われます。
自分たちで脚本を決めて納得いくまで話し合いを重ねながら、自分たちの手で一から創り上げていく。この作業には膨大な時間と労力、そして情熱が注がれているのです。
 
一つの劇を創り出すためには、どんな知識や技術が子どもたちに必要でしょうか。
 
まず、作品を読み理解する力や話す力、感情を表現する力など演じるのに直接必要なスキル。
その他にも、学年が上がると子どもたち自身が衣装や小道具、大道具、音楽などを手がけていくため、手仕事・数学・音楽(歌う、演奏する)・木工など、1年生から今まで学んできたことを活かす場面がたくさんあって、まさに「学びの実践」の場となっていきます。
子どもたちが歩んできた日々や学びが、「演劇」という形で実を結ぶのです。
そんな子どもたちの演劇を観るたびに、大きな感動に包まれ、
「こんな風に自分を表現できるみんなって素敵だな」
私もこんな経験をしてみたかったな」
と、憧れのような気持ちを抱いていました。
 

親も「演じて」わかったこと

本校で演じるのは子どもたちだけではありません。
毎年クリスマスには教員たちが「生誕劇」を子どもたちにプレゼントしてくれますし、保護者もクリスマスの時期には有志で「パラダイス劇」という演劇を上演しています。

(本校教員によるクリスマス生誕劇)

私は昨年、そんな子どもたちの身近にある演劇がどういうものか体験してみたくて、学内保護者に向けた講座に参加しました。
講座の内容は『体験授業 古代インドのお話で劇をつくろう』という体験型の講座。

5日ほどの講座では座学も少しありましたが、実践あるのみ!体験こそが学び!ということで
・観客を意識した動きとは?
・舞台上のバランスを感じとるには?
・セリフを忘れても舞台を止めないためには?
など、実際に体を動かしながら体感する演劇ワークを行い、その後グループに分かれて短い劇を創り発表するーーということを繰り返していきました。

中でも心に残っているのが「YESのワーク」。これは、相手の動きを否定せず「YES」と受け止めて、そこに自分の動きを加えてつないでいくというもの。
どんな場面でも「YES, and…」と受け入れ、つなげていくことで、舞台が止まることなく生き生きと動き出し、互いを信頼しあう空気も生まれます。

この講座の最終日には、私たちが創った劇を5年生と数人の保護者の前で演劇を発表するという貴重な機会もいただきました。
短い時間だけど納得できるものにしたい、という思いを胸に、それぞれがアイデアを出し合い、セリフを工夫し動きをつけていきます。そこに講座の担当教員のアドバイスが入ると一気により良いものになるので、心から驚きと尊敬を感じました。

しかしながらセリフや動きを覚えるのも一苦労…。家に帰っても家事をしていても、常に頭の片隅に演劇のことがある日々を送りました。

そして心を一つにして取り組んだ本番は、想像以上の一体感と達成感に満ちていて、参加者みんなでその喜びを分かち合うことができました。
子どもたちが日頃取り組んでいる演劇の大変さや楽しさを、ほんの少しでも実感できたことは、私にとっての宝物のような体験になりました。
この先、子どもが演劇に取り組むときについ口を出したくなる場面があるかもしれません。でもそんな時は、
「きっと今、いろいろ考えて頑張っているところなんだな」
と、信じて見守るように心がけたいと思います。
 
日々の学びとともに繰り返し演劇に触れることで、いつの間にか子どもたちに芽生え育っている「生きる力」が一人一人の中でしっかりと育ち、大人になってからも彼らを「あなたは大丈夫。」と支え続けてくれるのだと思います。
 
やっぱり演劇ってすごい。
子どもたちの成長を、劇という形でも日々感じさせてもらえることに心から感謝しています。
 
5年生保護者

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