演劇を通じて育まれること・前編 演劇#ブログ  #演劇   |

シュタイナー教育では、演劇の時間がとても大切にされています。
「それはどうしてなのだろう?」と、私は息子の入学を決める前から興味津々でした。

演劇が身近にある子どもたち

入学した子どもたちが初めて演じるのは、2年生の秋。ミカエル祭の時に、他学年の生徒や学校保護者の前で劇を披露します。
まだまだ小さな2年生たちは、緊張や「がんばるぞ!」という思いの入り混じった表情で舞台となる校庭に立ち、その姿を観客たちは、「どうかのびのびと演じられますように」と、祈るような気持ちで見守ります。

お話しの中では、困難に立ち向かい力を合わせて、6年生全員で演じる巨大な竜を「ヤー!」と倒します。それはまるで、緊張の中でがんばった子どもたち自身の姿を映し出しているかのよう。そして演じ終えた子どもたちの顔には、誇らしげな表情や満面の笑顔が浮かび、観客からは惜しみない拍手がわき起こります。

息子が2年生の時のミカエル祭でのエピソードはこんなことがありました。息子たちのクラスは、演じる事を楽しいと感じる子が多く、主役をやりたい!という人数もとても多くいたそうで、息子もその1人でした。

ミカエル祭が近づいてきたある日、2人必要なおじいさん役の1枠が、なかなか埋まらなかったので、担任から「誰かおじいさんをしてくれる人はいないかな?」と呼びかけがあったそうです。すると、息子は「じゃあ、おれがやる!」と手をあげたのだとか。主役を希望していたのを知っていた私としては、それで納得できるのかな…?という心配もあったので、息子にそれとなく探りを入れてみると「2人だけの役の方が目立つやん!」とのこと!笑。そうかー、そんなとらえ方もあるんだなと、感心するやら面白いやらでした。

でも息子はいたって真剣だったようで、もう1人のおじいさん役の友達とセリフや動きの練習を重ねたそうです。そして迎えた本番では、杖をついてヨロヨロ歩くおじいさん2人の登場に会場がわき、息子たちは大満足でミカエル祭を終えることができました。

どの子も自分の役を一生懸命に演じきっていて、その姿から小さな成長の芽を感じることができた、心に残るひとときでした。

 

自分たちの声がカタチになる

そして息子が3年生の時の年例祭(大きなホールを借りて1年間の学びを発表する場。)では「ヨナと大きなくじら」というお話で劇をしました。
3年生になると、セリフも担任と子どもたちが一緒に話し合いながら決めていき、動きもみんなで考えていきます。

途中に登場する『大きなクジラ』の表現についてみんなで話し合っていると、1人の子が
「みんなが黒い服を着てきて、集まったら大きなクジラになるんちゃう?」
というアイデアを出してくれて、みんながそれに大賛成!
それが形となり、本番では舞台上に迫力あるクジラが登場し、観客を沸かせました。

自分の意見を伝える。
誰かの話を聴く。
みんなで考える。
そしてそれが実際の“カタチ”になる…。
こうした劇を創る過程のなかで、話し合いの力や認め合う力が育まれていくのを感じました。

また、セリフのタイミングに自信が持てなかった王様役の子に対して、家来役の女の子が
「肩をトントンしてセリフのタイミングの合図をするから!」
と声をかけ、そっと支えてくれたそうです。

誰かに必要とされ、誰かを必要とする関係性のなかで育まれる、社会的な力や信頼の輪。
劇づくりを通して、それらが自然に育まれていることにも驚きを覚えました。

一人ひとりが緊張を乗り越え、楽しみながら、堂々とその役柄になりきって演じる姿は、とても輝いて見えました。
2年生のミカエル祭のころから、また一段と内も外も成長した子どもたちの姿に、感動と感謝の涙があふれました。

年例祭の演劇発表は他の学年でも行われ、学年が上がると共にセリフも増え、内容もより複雑に。また上演時間も、長く本格的なものに成長していきます。
(なお、年例祭では学年によって、演劇以外の発表も多くあります。)

 
5年生保護者

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