優越感も、劣等感もなく~1期生保護者インタビュー~ #ブログ  #開校25年目 | 

今春、18期の卒業生を送り出した本校は、開校から25年目を迎えます。
開校当初は今とどんなところが違い、どのような様子だったのでしょうか。
1期生の保護者の方に、当時のお話を伺いました。

きっかけは新聞記事

教育関係の仕事をしているので、子安美智子さんの「ミュンヘンの小学生」を読み、「自由への教育」とは何だろうと興味を持っていました。自らが受けてきた教育とは何かが違うようだ、とも感じました。
その頃、京都新聞の記事で、京田辺市に新しく、シュタイナー教育の全日制の学校ができると知り、すぐに電話をかけました。今思えば直感のようなものだったと思います。

入学してみて

子どもは8年生(中学2年生)で入学しました。
7・8年の合同クラスで、ルールなど何もないところから始まった学校生活、本気で物事に向き合い、先生方とも時にはぶつかることもあったようですが、真剣に受け止め、向き合ってくださいました。いたずらっぽいこともたくさんしていたようですが、私たち保護者には何も言われませんでした。子ども一人一人を信頼し、しっかりと受け入れてくださっている、と感じました。

ないところから作る

入ってすぐに高等部設立WG(*注1)が立ち上がり、話し合いが始まりました。校舎もひと部屋を区切って2学年で使っていましたから、片方の学年がリコーダーを吹き始めたら、こちらは授業がやりにくいなど、先生方は工夫して授業に取り組んでくださっていましたが、すぐに、2期校舎が必要だという話にもなりました。
当時、参加費は「経済の友愛」という理念のもと、各家庭ごとに参加費を決めて出す、という形でした。はたして、2期校舎を作るお金が集まるのか、先生方のお給料を払えるのか、手探りで始まりました。
ないところから作る、というのはエネルギーが必要です。学年会も毎週のようにありましたが、不思議と、しんどかったというより、学校を良くしよう、子どもたちを豊かに育てたいという熱量の方を強く感じていました。
その後、高等部が設立され、進学しましたが、今のように放課後のクラブもなかったので、運動が足りないな、とは感じた家庭は、プールやテニス教室に通ったり、各家庭で工夫していました。
子どもは当時行われていなかった運動会(現在のスポーツフェスティバル)を企画したり、生徒会を立ち上げたり、活発に活動していました。今も秋祭りにはお店を出して売り上げを学校に寄付するために帰ってくるくらい、この学校を大切に思っているようです。実家にはほとんど顔も見せないのに笑。

通わせてみての思い

どうなるかと思いながら通わせ、いろいろなことがありましたがよかったと思っています。大学進学や社会に出た時、子どもの新たな面を発見できましたし、もともと持っていたものなのかもしれませんが、それを引き出してもらいました。
評価や他者と比較されずに学校生活を送れたことで、自己肯定感を高め、「根拠のない自信」を持つことができたのではないかと思っています。
子どもの入学前に子安美智子さんの講演会でお聞きした、「優越感も、劣等感も持たずに育つ」という言葉が心に残っていて、本当にそのとおり、とても大事なところを育ててもらったと思います。
直感から始まり決意することで多くの力が生み出され、たくさんの支援の中進んでこられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

お話を伺ってみて

1期校舎の教室には、今も当時の仕切りのレールが残っているのですが、仕切ると、ここで2学年が授業をしていたの?と驚くくらいのスペースです。今は校舎も教室の数も増え、子どもたちがのびのびと学ぶ環境を確保できています。また、NPO法人の学校ということで、一般の公私立校とは異なる部分もたくさんありますが、教員と保護者が共にひとつひとつを吟味し、作り上げてきた学校なのだということに、改めて驚きを隠せませんでした。


(*注1)WG(ワーキンググループ)保護者が任意で所属する、学校運営のためのグループ。


#ブログ  #開校25年目 

保護者ブログ一覧へ
このページのトップへ