『2006年度 京田辺シュタイナー学校 高等部第一回卒業セレモニー』に出席された来賓の方からいただいた、卒業生へのお祝いのメッセージを紹介します。
『あしたの国ルドルフシュタイナー学園』設立代表人
子安美知子さん
学校法人『シュタイナー学園』学園長
秦 理絵子さん
NPO法人『京田辺シュタイナー学校』特別顧問
仲 正雄さん
『あしたの国ルドルフシュタイナー学園』設立代表人
子安美知子さん
京田辺シュタイナー学校の皆様、第一期生のご卒業、おめでとうございます。
私はこの度初めて京田辺シュタイナー学校に伺わせていただきましたが、卒業プロジェクトの作品展示をひとつひとつ拝見し、感心致しました。例えば、作品の変化を自分自身の変化のプロセスとして表現していることや、平安時代の時間感覚を文献や理論だけではなく、自分の体験としてとらえているなど、シュタイナー教育の肝要な部分がきちんと表現されています。欧米の借り物や真似事ではない、日本のシュタイナー教育が根付いているのだと実感しました。
私は36年前にドイツでシュタイナー教育に出会い、16年後に日本で初めてのシュタイナー学校、『東京シュタイナーシューレ』がスタートしました。その20年後、京田辺で初めての12年生が卒業していく。そして今、千葉では『あしたの国シュタイナー学園』が始まる…。日本でのシュタイナー教育の流れがうねりを強めてきていると思います。
京田辺シュタイナー学校高等部卒業生のみなさま、世界中にあなたたちの活躍の場があるのです。あそこにも、ここにも、あなたたちを待っているお仕事があります。それに取組んでくれることが、私たち大人たちにとって大きな喜びであり、希望です。心からお祝いを申し上げます。(談)
学校法人『シュタイナー学園』学園長
秦 理絵子さん
この度卒業される方の多くは公立学校、土曜クラスを経て7年生から全日制のシュタイナー学校へ入学されたと聞いています。『シュタイナー学園』の前身、『東京シュタイナーシューレ』の卒業生たちは、小学校や中学校段階で巣立っていき、すでに20代半ばの卒業生もいます。京田辺の卒業生たちとはシュタイナー教育を受けた時期が学童期か思春期かの違いはありますが、どちらにもバランスの取れた、マイペースの人生を歩んでいってくれると感じさせる何かがありますね。
卒業プロジェクトを拝見すると、それぞれがやりたいことにじっくりと取組み、そして全てがつながっている。つまり、興味の対象を追う時に分野や教科で分断せず、関連すること、感じることを境界を越えて求め、実践していくというシュタイナー教育の中の大事な力が育まれていると感じます。卒業後も、同じように人とつながり、社会とつながり、世界とつながっていってくれるのではないでしょうか。
バランス感覚とつながりを見出す力を心の中に萌芽として持っている人たちが巣立っていくことを心から祝福します。そして、これから日本各地のシュタイナー学校からも次々と卒業生が羽ばたいていき、次の世代につながっていくのですね。楽しみです。(談)
NPO法人『京田辺シュタイナー学校』特別顧問
仲 正雄さん
シュタイナー教育というと教科書を自分で作る、1年生から編み物もするというように物を作る教育だと思われているかもしれません。でも、シュタイナー教育の物を作ることの本質は、創作能力の開発ではないのです。では、何か。実は、卒業プロジェクトにその神髄が凝縮されています。
卒業プロジェクトでは生徒たちは思い思いのものに取組み、確かに作品を作ります。でも、手本もマニュアルもない所から取組む過程で、見知らぬ“自分自身”に否応無く出会ってしまう。作品に深く取組めば取組むほど、正面から自分というものと向き合わざるを得なくなってしまう体験をします。それを乗り越えて初めて卒業プロジェクトの完成があるのです。難しく言えば自我との出会いだけど、哲学を何一つ語らずに、教育の実践の中で生徒自身に哲学的な体験をさせてしまっているのですね。言葉にすれば簡単に聞こえるでしょう。でも実際には、それまでの積み重ね、思春期という独特な時期、そして教員との時間など、幾つもの要素がダイナミックに作用しあっている。
小さい頃から自分の手で作ることで素材の手触りや道具と出会い、授業でも様々なものと出会い、教員とも一人の人間として出会い、そして最後に最も手ごわい自我に出会い、その体験を胸に社会に旅立っていくのがシュタイナー学校高等部卒業生たち。自我と格闘し、心の中に揺るぎのない芯を持った人間は強い、そう思いませんか。卒業後も自分を見失わず、自らの人生を切り開いていってくれますよ。卒業生諸君、おめでとう。(談)