木々にやわらかな葉がそよぎ出すころ、子どもたちがうれしそうにさくらんぼの話をしはじめる。
「ねえ、もう食べた?」
「食べた。めっちゃ赤いの。」
「いいな、うちのクラスまだ。」
校庭の桜の木にさくらんぼが実りはじめるのだ。
実を摘む番は低学年のクラスからめぐってくる。
その年の実りに合わせ一人数粒ずつ。
この季節がやってくると、1~12年までみんな心待ちに桜の木をのぞきこむ。そして、実が色づくごとに子どもたちの顔もほころんでくる。
この桜はいったいいつ植えられたのだろう。
はじめは小さな苗で実もならなかっただろう。
かつてだれかが、いつか子どもたちが実を摘める苗を、と選んで植えてくれたのだろうか。
今年はとりわけたくさん実ったらしい。
実り、分け合い、笑顔を増やす。
この学校もそんな風に豊かに実り続けて欲しい。
U.