秋が来た。
わが家の下の子は6年生。例年6年生は秋に和太鼓に挑む。
学校で練習がはじまって数週間後。ハッと気づくと、夫のお手製ダイニングテーブルがバチで勢いよく叩かれていた。
上の子が和太鼓をしたときには、改築したばかりの家の柱が叩かれた。
そのときは、あわてて日曜大工の残り木をツギハギして木箱を作りあてがったのだが、もしかしたら出番があるかもと、場所が塞がれるのをしのんでその木箱を数年間ベランダに置いていた。
ダイニングテーブルの被害が広がる前に、今でしょ、と夫がその木箱をリビングへと引っ張り出して来た。
数日後…上の子が大事にとっておいたマイバチを抱えてやってきて、おもむろにバチを振り出した。すると、下の子もやって来て、箱の逆側から合わせて叩きだした。曲は一緒。まだまだ負けていないという勢いの姉。自分は現役と食らいつく弟。夢中で叩く2人。気づけば最近運動不足の姉の額から汗がポトリポトリ。。時刻は午後19時、9年の姉は疲れた~と帰宅してきた、6年の弟は宿題で疲れた~と言い訳してお手伝いを先延ばししてのびていた矢先…のはずが…
ドンドンドドン。鳴り響く音。急いで家じゅうの窓を締める。
6年男子と9年女子。ケンカも増え距離も開いてきたこの頃。そんな2人の魂が激しくぶつかり合いながらも重なっていく。次第に2人の音がピタリと合いはじめた。そうしてしばらくすると、いつの間にかバチを置きスッキリした表情で方々立ち去って行った。
個々の旅立ちへと向かう思春期の子どもたちの心をも、不思議に魅了し一つにする和太鼓。
和太鼓の「和」についてあらためて思う秋です。 A.H.