NPO法人京田辺シュタイナー学校

生徒たちはどのように進路を決定したか

高等部の卒業生たちが実際にどのように進路決定をしたかについて、担任の中村重郎教諭の文章を紹介します。



■一人ひとりが自分らしい、本当に好きな道を選ぶ


 2007年春、初めての卒業生たちが当校から旅立ちました。彼らの進路とそこに至るまでの経緯は、個性的でさまざま、そして何よりもその子らしいものでした。

  • 自分の興味や将来のことを思い悩み、さまざまな紆余曲折を経ながらも、ずっと興味を持っていた東洋史を選んだ生徒
  • 高等部在学中から留学を経験し、再び留学することを前提に外国語学部を選んだ生徒
  • 英語を学びたい、外国の大学で学びたいという思いを実現すべく、直接イギリスに旅立った生徒
  • 一貫して漫画に興味を持ち、漫画家を目指してストーリー漫画学科に進んだ生徒
  • 自分自身のルーツである中国のこと、そしてその経済を学ぶことを選択した生徒
  • モノづくりやデザインが好きで、それを生かすべく美術系学部を選んだ生徒
  • 自分自身や家庭を振り返るうち、カウンセリングに興味を持ち、カウンセラーを目指して心理学科を選択した生徒
  • 手を動かしものを作ることが元来大好きで、それに環境への興味が結びつき環境デザイン学科を選んだ生徒
  • 自分の興味や進路を見定めて、そこに向うために勉強することを決意して浪人する生徒
  • 自分自身の興味・進路をはっきり見定めるために、今は進学しないと決めた生徒

 進路は多種多様ですが、共通しているのは、自分の興味、自分が本当に好きなものに向って、自分の歩む道を選択していった点です。

■本質的な問いに答を出し、歩む道を自分で決めるプロセス


 自分自身の進路を決定するに際し、担任と副担任が生徒一人ひとりと何度も面談をしました。12年生の大きな行事は「卒業演劇」と「卒業プロジェクト」。彼らの興味・関心も初めはその二つに向いていたのですが、面談で話をしていく中で、自分のことを振り返りつつ、自分の将来を考え始めました。「自分はいったい何に興味があるのか」「自分は社会の中でいったいどのように生きていったらいいのか」「自分の興味と社会の中で生きていくことを、どう織り合わせたらよいのか」。彼らの口から真摯な問いが発せられ始めます。

 夏の卒業演劇では、自分自身やクラスの限界に挑戦し、その達成感と満ち溢れんばかりのエネルギーでもって、2学期からは卒業プロジェクトに向っていきました。ところが、多くの生徒はそこで壁にあたってしまいました。自分が好きで、自分の興味でもって進めていたはずの卒業プロジェクトも、作品として完成させるためには、苦しいことがたくさんあります。「自分は本当にこれに興味があるのか」「自分は本当にこれが好きなのか」「自分はこれを通して何を表現したいのか」など、何度も何度も原点に立ち返り、自分自身と向き合うことになりました。その過程で、今の自分が抱えている課題にも向き合わざるを得なくなります。そうした大変しんどい壁を乗り越えながら、一人ひとりが自分自身のプロジェクトを完成させていきました。そのプロセスを共に歩んでいくことは、私たち教員にとっても、貴重で感動的な体験でした。

 そのようなプロセスを経て、彼らは自分の歩む道を自分自身で決めていったのです。この学校を巣立っていった12人の生徒たちは、これからこの世界の中でいったいどのように生きていくのでしょう。私たちの楽しみが一つ増えました。
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