小学校、高校など充実した教育現場の見学も続いた。どの学校でも皆、日本人に興味津津だ。日本といえば、イメージはアニメや漫画。小学校では子ども達が寄ってきて、「トトロを描いて!」と大騒ぎ。高校では思春期の生徒がはにかみながらも「コニーチワ(こんにちは)」と挨拶をしてくれる。ホームステイ先の高校生の男の子に聞かれた質問は、「『オタク』というのはポジティブな意味か、ネガティブな意味か」というものだった。
小学校の先生には教育現場の現実の部分について話を聞いた。「低学年のうちにクラス内での子ども同士の良い関係を築くことが大切」という言葉が印象に残る。早い段階で良い集団を形成することに力を注いでいるそうだ。教員同士がチームで働いており、ひとつのクラスに複数のスタッフが継続して関わる。教員は基本的には互いにフラットな関係で、上下関係はあまりないとのこと。教員の精神的なサポート体制もある。
小学校では特別支援教育について、事前に聞いていたことを目の当たりにした。スウェーデンでは近年「インクルージョン(包含、包括)」という言葉が一つの
キーワードになっている。全ての子どもは等しく教育を受ける機会を持つという考えのもとに、様々な困難を抱える子どもも皆、同じ教室で学ぶことにしているという。そのために必要な機器や設備は学校側が用意しなければならない。見学した小学校でも、校舎内の至る所にエレベーターが、教室には視覚障害のある子どものためのモニターが設置されていた。
高校では設備の素晴らしさに驚く。理科室などの特別教室も整っている。図書室

は高い天井まで届く本棚が壁際にすえつけてあり、幾つかの部屋が続いたものになっていて落ち着いて勉強出来る空間だ。機器も充実していて、生徒達はそれぞれのパソコンを使って資料を作っていた。また電気科の広い教室には木の壁で囲まれた半畳ほどのブースが並び、中にひとりひとりの生徒が独自に考えた家庭内の電気配線が設置してある。室内の照明器具などに各自の工夫が見て取れる。教職員が使う部屋も、職員室、会議室、談話室など、どこも美しくしつらえられた、ほっとできる場所だ。
生徒への個別の対応も充実しており、必要に応じて自由に教員の時間を予約して学習をする部屋がある。そこには文系理系それぞれ1名ずつの教員計2名が常駐している。自習をしながら順番に教員に質問をしていた。時にはグループで来ることもあるという。学習の手助けの他、移民が増えていることもあり、言葉の問題などにも対応する必要があるそうだ。人も設備も必要なものを用意し、細やかな対処ができることがうらやましかった。
高校における特別支援の形は小学校とは少し違っていた。やはり個別のケアが必要なため、別室で少人数での時間がもたれているようだった。担当の先生は率直に現実を語って下さった。小さい頃にいじめられた経験がある生徒もいて、心が傷ついていることがあるという。それもまた一つの事実として受け止めた。
自然学校という日本で言う「青少年自然の家」のような所にも行った。湖と森に囲まれた美しい場所だ。未来を担う子どもたちへの環境教育について話を聞いた。周辺の自然観察など、訪れる子どもの年齢に応じたプログラムが用意されている。また施設内には社会の中での水の循環について学ぶ部屋がある。特に汚水処理などは目に見える形の展示があって面白い。ひと通り話を聞いた後、静かな森の中を散策した。森のあちらこちらにあるポイントで、事前にもらった冊子の質問に答える形になっていた。両側を木々に囲まれた土の道をゆっくりと歩きながら、植物について学べるようになっている。秋のさわやかな風に吹かれながら、木々の葉や色づいた実を観察する。贅沢なひと時だった。